大人になってから英語をやり直すには、文法学習は不可欠です。一方で、「文法は苦手」という人も多いです。
実は、英会話を目的にするなら、そんなに難しい文法は必要ありません。まずは中学の基礎文法を覚えておけば、それなりに会話ができます。

文法書を活用して、体系的に学ぶのがおすすめです。
この記事では、英語を話せるようになりたい社会人に向けて、押さえておきたい基本文法12項目をお伝えします。さらに、日本人が特に苦手とする文法も3つご紹介します。
これから文法を学び直す方、文法で苦労している方は、この記事を参考に学習の優先順位をつけてみてください。英文法との上手な付き合い方が見えてくるはずです!
- TOEIC980点、英検1級
- 留学経験ゼロで英語を習得
- 大手英会話スクールで10年以上指導
- 大学・法人研修講師10年以上
- 講師歴はトータル20年以上
- 日英翻訳の経験多数
英会話で必要な基礎文法12選


英会話で必要なのは中学レベルの文法です。その中でも優先順位の高い12の文法項目をこれからご紹介します。ここでは簡単な紹介にとどめていますので、詳しく学ぶには文法書を活用してください。
以下の記事におすすめの文法書を紹介しています。


単語の語順
英語で文章を作るとき、単語の順番がとても重要です。語順が変わると意味も変わるからです。一方で、日本語は語順よりも「てにをは」で判断します。
- 母が 私に プレゼントを 買ってくれた。
- 私に 母が プレゼントを 買ってくれた。
- プレゼントを 私に 母が 買ってくれた。
どの語順でも意味は理解できます。ところが、英語ではそうはいきません。
〇 My mother bought me a present.
× Me my mother bought a present.
× A present my mother bought me .
日本語では動詞が一番最後に来ますが、英語では主語の後すぐに動詞が来ます。こういった語順の違いのために、英語を話していて頭の中が混乱する人が多いです。



実際に使う練習をしながら慣らしてしていく必要があります。
語順は英語を話すときだけでなく、英文を読むときにも大切です。長い文章になると、英語の流れに沿って理解できず、文書をもう一度読み直すいわゆる「返り読み」をする人が多いです。英文を理解するスピードを上げるには、英語の語順で理解するクセをつけることです。
品詞と文型
単語には品詞があり、品詞によって文中に置かれるポジションが変わります。特に重要なのが名詞・動詞・形容詞の3つです。



TOEICにも頻出の品詞で、英文を作る重要な要素になります。
文型というのは文章のパターンです。学生時代に5文型というのを学んだと思います。あまり厳密にパターンに分けられないこともありますが、知っていると文章を作る助けになります。
- S V(主語+動詞)
- S V C(主語+動詞+補語)
- S V O(主語+動詞+目的語)
- S V O O(主語+動詞+目的語+目的語)
- S V O C(主語+動詞+目的語+補語)
主語・目的語は必ず名詞になり、補語は名詞か形容詞です。
疑問文
英会話では、相手の質問に答えるだけでなく、こちらから相手に質問を投げかけることも必要です。そのため自分で疑問文を作れるようにしておく必要があります。
疑問文にはYesNo疑問文とWH疑問文があります。通常の文章とは語順を入れ替えたり、助動詞を補うなどして疑問文を作ります。be動詞の文章か、一般動詞を使う文章かによって、疑問文の作り方も変わってきます。
YesNo疑問文
Is she your sister?
Does she live in Chicago?
Can you come to the party this weekend?
WH疑問文
Who is she?
Where does she live?
How many people are coming to the party?
オンライン英会話でレッスンをしている人は、先生の質問に答えることはできても、自分から質問をするのが苦手な人も多いです。頭でわかっていてもとっさに疑問文の語順が口から出てこない、ということがよくあります。



口頭練習もしっかりしておきたいです。
時制
昨日の話なのか、これからの話なのかという時制はとても重要です。話していて時制が崩れると、前後関係がわかりずらくなり、ミスコミュニケーションにつながることもあります。
I am working on my report now.(私は今レポートに取り組んでいます)
I worked on my report yesterday.(私は昨日レポートに取り組みました)
I am going to work on my report next week.(私は来週レポートに取り組みます)
I have been working on my report for three hours.(私は3時間レポートに取り組んでいます)
nowやyesterdayなど、時を表す表現があれば誤解を避けることもできますが、時制と一致していないと聞き手は混乱します。
× I have been working on my report yesterday.
× I am working on my report for three hours.
時制がちゃんと使えていると、英語がきちんとして聞こえて印象も良くなります。文法書でも時制の項目にはかなりのページが割かれています。重要度の高い文法なので、時間をかけてしっかり理解を深めていきましょう。
助動詞
助動詞は言葉のとおり「動詞を助ける」もので、動詞の前において意味を付け加えます。具体的には、can(できる) should(べき) might(かもしれない)などがあります。
助動詞がなくても文章は成り立ちますが、助動詞があれば微妙なニュアンスを伝えられます。会話では積極的に取り入れたいです。
I get up early every day.(私は毎日早起きします)
I should get up early.(私は早起きするべきです)
I have to get up early tomorrow.(私は明日早起きしなければいけません)
I might get up tomorrow.(私は明日早起きするかもしれません)
助動詞のあるなしで伝わるメッセージが随分と変わってきます。種類はそれほど多くないので、上手に使って表現の幅を広げたいところです。
接続詞
前後の内容をつなげていく接続詞も重要です。使い方を間違えると意味が正しく伝わらなくなります。どんなときにどんな接続詞を使うのか、理解して使いこなしていきましょう。
He couldn’t attend the meeting because he had to meet a client that day.
(彼はその日、顧客に合わなければならなかったので、ミーティングに参加できなかった)
He had to meet a client that day, so he couldn’t attend the meeting .
(彼はその日に顧客に合わなければならなかった、そのためミーティングに参加できなかった)
接続詞を使う方が話の流れがわかりやすくなります。単に2つの文章を並べるだけよりも、文章が洗練された印象になります。
態(受動・能動)
英語には受動態・能動態という2つの態があります。日本語にするならば、「する」のか「される」のかの違いになります。
能動態:My mother cleaned the room.(母がその部屋を掃除した)
受動態:The room was cleaned by my mother.(その部屋は母によって掃除された)
ややこしいのは、英語ではこの「態」という概念がいろんなところで出てくることです。例えば、現在分詞・過去分詞という「分詞」にも態の概念が関わっています。文章を作る際に、さまざまな場面で関わってくる概念だと理解しておきましょう。
現在分詞・過去分詞
現在分詞(~ing)と過去分詞(~ed)という2つの分詞が英語にはあり、形容詞のように使われることが多いです。そして先ほどの「態」の概念とも深く関わってきます。
The soccer game was exciting.(そのサッカーの試合はワクワクするようなものだった)
I got excited while I was watching the soccer game.(私はサッカーのゲームを見ていて興奮した)
日本語にすると分かりにくいですが、英語ではここに態の概念が反映されています。「excite」はもともと「興奮させる」という意味の動詞です。「exciting」は「人を興奮させるような」という能動的な意味を持ちます。一方、「excited」は「興奮させられた」という受動的な意味を持ちます。



会話でもよく使うので、マスターしておきたいです。
不定詞
「to+動詞の原形」を不定詞といい、名詞、形容詞、副詞の3つの役割で使うことが可能です。不定詞を使えば文章のバリエーションが広がります。
名詞:My goal is to use English for work.(私の目標は仕事で英語を使うことです)
形容詞:I have a license to teach English at high school.(私は高校で英語を教える資格を持っている)
副詞:I went to the store to buy a drink.(私は飲み物を買うためにお店に行った)



特に名詞と副詞の用法が会話でよく使われます。
動名詞
動詞の後に「~ing」をつけて、動詞を名詞化することができ、これを動名詞といいます。形だけを見ると現在分詞と同じなので混同しやすいです。
現在分詞:The man talking over there is my boss.(向こうでしゃべっているのは私の上司です)
動名詞:Learning English is difficult but fun.(英語を学ぶのは難しいが楽しい)
見た目は一緒ですが役割が違っています。どちらも頻繁に使われるので、理解する必要があります。



これは実際に使っていけばすぐに慣れてきます。
比較
2つのものを比べたり(比較級)、たくさんあるものの中で比較する(最上級)ときに用いる、「比較」の表現もおさえておきたい文法です。
比較級
My bag is lighter than yours.(私のカバンはあなたのよりも軽い)
She runs faster than me.(彼女は私よりも早く走る)
This book is more interesting than that book.(この本はあの本より面白い)
最上級
My bag is the lightest of all.(私のカバンは全部の中で一番軽い)
She runs the fastest in our class.(彼女はクラスで一番早く走る)
This is the most interesting book that I have ever read.(これは私がこれまで読んだ中で一番面白い本だ)
これも会話でかなり便利に使える表現です。
関係代名詞
学生時代に関係代名詞で英語につまずいた人は多いです。関係代名詞を使わずに話すこともできますが、英文を読むときにはとても大切です。仕事で英文メールのやり取りをする、英語で文章を読む必要がある人は、押さえておきたい重要文法です。



知っていると会話での表現の幅も広がります。
関係代名詞を簡単に言ってしまえば、名詞を修飾する大きな形容詞のようなものです。前にある名詞を説明する文章がうしろに続きます。
the book that I read yesterday(私が昨日読んだ本)
the book that was written about a Hollywood star(ハリウッドスターについて書かれた本)
the writer whose book became a best-seller last year(本が昨年ベストセラーになった作家)
主格・目的格・所有格という3つの格があります。役割が少しずつ違いますが、どれも名詞を説明しているという点で同じです。



いったん理解してしまえば楽なので、根気よく学習していきましょう。
日本人が苦手な文法トップ3


英文法の中でも、特に日本人にとって難しいものがいくつかあります。中でも、私自身が苦戦したもの、私の生徒さんたちが苦労しているものを3つご紹介しましょう。
時制(完了形)
時制は基礎文法としてさえておきたいポイントですが、しっかり使いこなすのが難しい文法であります。現在形と現在進行形など、わかっているはずの時制でも意外と難しいものです。中でも皆が苦労するのが完了形の用法です。
学校の授業で、「have+過去分詞」で現在完了と教わります。多くの方がこの形は覚えていて、主な用法も知っているのではないでしょうか。
- 継続:I have been learning English for more than ten years.(10年以上英語の勉強をしています)
- 経験:I have never been to Italy.(イタリアに行ったことがありません)
- 完了・結果:I have finished reading the book.(その本を読み終えました)
ところが、いざ自分で文章を作ろうとすると、みなさんつまづきます。過去形と完了形の使い分けがわからなくなったり、「現在完了形と現在完了進行形はどっちがいいの?」という疑問が出てきたりします。さらに、日本語の表現にひっぱられて、以下のような間違った文章を作る人も多いです。
I have lived in Sendai for three years before.(以前、3年間仙台に住んでいたことがあります)
継続と経験の用法を一緒に使っていますが、英語ではこれは間違いです。正しい英語にするなら、以下のどれかになります。
- I had lived in Sendai for three years.(過去完了形)
- I lived in Sendai for three years.(過去形)
- I have lived in Sendai before.(現在完了形)
そもそも「完了形」という概念が日本語にはないので、理解するのに時間がかかります。理屈を文法書で覚えて、演習問題には正解できても、自分で文章を作ろうと思うと悩むことが多いです。



完了形を使いこなすには、かなり時間がかかると覚悟しておきましょう。
前置詞
前置詞も日本人が苦手な文法の一つです。私が英訳の仕事をしている時にも、ネイティブチェックでよく修正されたのが前置詞でした。
まずは、前置詞の持つイメージや意味合いを理解することが大事です。
前置詞のイメージ例
①in 中に入っている
②on 何かに接している
③to 方向を表す
④of 「~の」と所有を表す
前置詞は動詞や形容詞、名詞などと一緒に使って定型表現になっているケースも多いです。その場合は、フレーズとして暗記してしまうことも必要です。
ただ、前置詞は多少間違えてもコミュニケーションにさほど差支えない場合も多いです。



あまり神経質になりすぎず、じょじょに慣らしていくのがよいでしょう。
名詞の数と冠詞
英語の名詞には可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)があります。日本人は、まずこの概念が理解できずに苦しみます。さらに、可算名詞なら、単数形にするか複数形にするかで悩みます。
数えられる名詞
I ate an apple this morning.(今朝リンゴを一つ食べた)
I like apples.(私はリンゴが好きです)
リンゴは数えられる名詞なので、一つ食べたのなら単数形を表す「an」をつけます。一般的に「何かが好き」という場合は、複数形で使うことが普通です。
数えられない名詞
I drink coffee every morning.
I drink a cup of coffee after lunch.
コーヒーは数えられない名詞です。「a」をつけたり複数形にしたりはしません。数えたい時には「a cup of(コップ一杯)」などのように、数えられる名詞を付け加えて使います。
さらに、定冠詞の「the」は可算、不可算、単数、複数に問わず付けられます。そこで私たち日本人は、「a」をつけるべきか「the」をつけるべきかでさらに悩むのです。



これは日本人にとって最難関の文法ポイントと言えます。
このテーマだけで一冊の本が書けるぐらいに厄介なポイントです。そもそも完璧にマスターしようと思わないほうが良いでしょう。「時間をかけてなんとなく分かってくれば良い」ぐらいの気持ちでかまえておくのがおすすめです。
まとめ
英会話で必要な文法についてまとめてみました。どれも基礎的な文法ですが、実は基礎文法ほど奥が深くて難しいものです。文法書を読んでわかったつもりになっていても、いざ使おうとすれば正しく使えないことがよくあります。
完璧な英語を話す必要はありませんが、英語を学ぶ上で文法は欠かせません。学べば学ぶほど新しい気づきがあり、外国語学習の面白さや奥深さを感じられるのも文法学習の醍醐味です。
ぜひ気長に楽しく学習を続けてみてください。
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