英語学習を始めてみたものの、「これといった目的がなく勉強に身が入らない」「何となく続けているけど上達しない」そんな悩みを持っていませんか?
「英語学習の目的がないと上達しない」と言われますが、本当にそうでしょうか?
私自身、明確な目的を持って学んでいた時の方が上達が早かったのは事実です。
でも、常に明確な目的があったわけではありません。
私の生徒さんの中にも、「最初は曖昧な目的で始めてみたものの、学習が楽しくなって継続している」そんな人も実際にいます。
英語が上達するかどうかは、学習目的以外にも大切なことがあります。
全てが揃っていなくても、どれかいくつか当てはまればそれなりに結果はついてきます。
この記事では、英語講師として20年、学習歴30年の私が、目的と上達の関係について体験を交えてお伝えします。
英語学習の目的が見つからず悩んでいる方も、「これなら続けられそう」と思えるヒントが見つかるはずです。


Anne(アン)
英語講師/学習コンサルタント
大学時代、英語科に進学したものの英会話力はゼロ。悔しさをバネに努力を重ね、留学なしでTOEIC980点・英検1級を取得。自らの経験をもとに、英語学習に役立つ情報を発信しています。
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英語学習の目的がないと上達しにくいと言われる3つの理由


英語学習の目的がないと上達しにくい理由は何でしょうか?3つの理由をご紹介します。
学習時間を十分に確保できない
「英語でキャリアアップしたい」など、明確な目標がある人ほど時間をやりくりして学習を続けようとします。一方、英語学習の目的がはっきりしていないと、「今日は忙しいからまた明日でいいか」といった気持ちになりがちです。
目的がないと学習が日々の優先順位に入りにくく、結果として英語に触れる時間そのものが不足してしまうのです。
学習を継続しにくい
英語学習は短期間で結果が出にくいので、上達のためには継続が大切。ところが、これといった目的なく英語学習をしていると、継続するためのモチベーションの維持が難しいのです。
目的があいまいだと「なんのためにやってるんだろう」と感じる瞬間が多くなり、挫折につながりやすくなります。
一方で、具体的な目的や目標があれば、学習が辛くても「もう少し頑張ろう」踏ん張ることができます。
学習の効率が悪くなる
目的が明確でないと、教材選びや学習方法が定まりません。
たとえば「海外の顧客とコミュニケーション取れるように」という目的があれば、ビジネス表現を学んだり、リスニングやスピーキング力を中心に磨くのが効果的。
自分の目的に合わせた学習をすることで、限られた時間を最大限に活かすことができます。
英語学習目的だけじゃない!上達の鍵になるもの


明確な目的がなければ、上達は無理なのでしょうか。目的がしっかりしていれば、それだけで上達につながるのでしょうか。
学習目的以外にも上達の鍵になる要素はあります。
学習時間の確保
英語上達のために最も大切なのは、学習時間をしっかり取ることです。学校で英語を学んだ社会人が、英語をやり直し話せるようになるためには、さらに1,000時間の学習が必要と言われています。
学習の目的が明確であれば行動につながりやすく、時間の確保もしやすいです。しかし、明確な学習目的があっても、毎日まとまった時間を英語学習に費やすのは簡単ではありません。
英語コーチングスクールに通うなどして強制力を働かせたり、何らかの工夫が必要です。
英語学習の環境
英語を使う必要があるなど勉強せざるを得ない環境があれば、学習意欲は維持しやすく学習習慣もつけやすいです。
- 仕事で毎日英語を使う
- 英語コーチングスクールに通う
- 海外留学する
社会人になってから海外留学するのは難しいので、英会話スクールやコーチングスクールなどに通ってみるのも1つの方法になるでしょう。
周りに英語を話す人がいたり、学習仲間がいれば、英語を学ぶ習慣を形成しやすいです。
適切な英語学習法
英語を学ぶ目的がはっきりとしていて学習意欲があっても、学習のノウハウを知らなければ何をすればいいのかわかりません。
私はフリーランス英会話講師として、様々なところで英語を教えてきましたが、多くの方が「英語力を上げたいが、何をすれば良いのかがわからない」と言われます。
学生時代のテストのための英語学習と、実践的な英会話スキルを身に付ける勉強は全く別ものです。
ノウハウにこだわりすぎて学習をスタートできないのは困りますが、ある程度の学習ノウハウは知っておきたいです。
英語学習を楽しむこと
英語学習を楽しいと思えるかどうかも大切です。英語学習を苦しいと感じるか楽しいと感じるかは、上達具合にも影響します。
勉強を始めても、すぐには結果は出ないもの。結果が目に見えないと学習の挫折にもつながります。
しかし、すぐに結果は出なくても、新しい単語や表現を覚えたり日々小さな進歩があります。学習プロセスを楽しめるかどうかが、学習の継続につながります。
楽しいと思いながら学ぶのと、学習を苦痛に感じながら学ぶのとでは、吸収力も変わります。同じ時間勉強しても、楽しんで勉強する人の方が上達しやすいです。
【私の体験談】英語学習の目的と上達に関係はある?


私が本格的に英語学習に取り組み始めたのは、高校生の頃です。それから約30年、今もずっと英語学習を続けています。英語を学ぶ目的はその時々で変わってきました。
そこで、これまでの学習歴を振り返って、学習の目的や上達に必要なその他の要因がどう関わってきたのかまとめてみます。
洋楽の歌詞を理解したかった学生時代
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | 洋楽の歌詞を理解したい |
| 学習時間 | 学校の勉強+自習 |
| 学習環境 | 自分で作る必要あり |
| 適切な学習法 | 完全に自己流 |
| 学習を楽しむこと | めちゃくちゃ楽しい |
| 結果 | 英語の基礎力を形成し、学校の成績は良好。ただしスピーキングは全くできないまま。 |
私の英語学習のきっかけは洋楽でした。好きな洋楽アーティストの英語の歌詞を理解したいという目的で学習を始めました。
歌詞カードを見ながら自分で辞書を調べ、英語を理解したいと一生懸命勉強したものです。「いつか憧れのアーティストと英語で話せたらいいな」と夢見ながら英語を勉強していました。
この頃の英語学習は、本当に純粋に楽しかったです。好きこそ物の上手なれ。
好きでやっているので、勉強に費やす時間は自然と増えます。楽しんで学ぶので、どんどん吸収していきます。学習ノウハウなど知らなかったので効率は悪かったかもしれませんが、今振り返ってみると意外とちゃんとした学習をしていたと感じます。
学習そのものが楽しかった短大時代
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | 目的は意外と曖昧。強いて言えば、帰国子女のクラスメイトに囲まれて、授業で落ちこぼれないこと。 |
| 学習時間 | 英語科の短大での授業+大量の宿題 |
| 学習環境 | 毎日授業で英語にたくさん触れていた |
| 適切な学習法 | 大学のカリキュラムに乗った学習 |
| 学習を楽しむこと | めちゃくちゃ楽しい |
| 結果 | 2年間で劇的に英語力アップ。卒業後には英語が話せるようになっていた。 |
高校時代に洋楽をきっかけに英語学習を始め、そのあと英語科の短大に進学します。
この頃は歌詞を理解するという目的ではなく、単純にもっと英語力を上げたいと思って勉強していました。学習の目的は意外と曖昧で、短大のカリキュラムに乗ってひたすら英語を学んでいた感じ。
多分、人生の中で最も英語を勉強したのがこの頃です。
上の表を見てもらってわかるように、学習の目的はそれほど明確ではありませんでしたが、それ以外の状況が揃っています。そのためこの2年間で劇的に英語力が上がりました。
ただし、大学のカリキュラムは英語の4技能をバランスよく磨くためのもの。社会人が、「仕事で必要な英語力を身に付ける」など、より具体的な目的で英語を学ぶ方が学習効率は上がります。
私の学生時代から英語が話せるようになるまでの学習過程は、以下の記事で書いています。よろしければ参考にしてみてください。
英会話の楽しさに目覚めた大学編入時代
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | 目的は曖昧。 |
| 学習時間 | 英文科の大学での授業+たまに実践 |
| 学習環境 | 英語よりも専門的な勉強が中心 |
| 適切な学習法 | 大学の読み書き中心の学習と英会話の実践 |
| 学習を楽しむこと | 英語での会話は楽しかった |
| 結果 | 英語力は伸びたと言うより、維持しただけの印象。ゆるーく少しは伸びたかも? |
短大を卒業した後、もっと専門的な勉強もしたいと思って4年生の大学の英文科に編入学しました。短大の学習が英語の実践力を磨くものだったのに対し、編入先の大学では言語学や英米文学など専門を深める学習です。
この時に大学で英会話の授業に参加し、ここで初めて「どうやら自分は英語ペラペラらしい」ということに周りのクラスメイトの反応から気づきます。
短大での2年間の猛勉強で、いつの間にか英語が話せるようになっていました。
「英語が話せる」ことを自覚し、英会話の楽しさに目覚めたのがこの頃です。
短大時代の宿題の多さに比べれば、大学の授業はものすごく楽でした。おそらくそれなりに勉強もしていたのでしょうが、私の記憶では「大学時代は遊んでいた」という印象。
大学で同じように洋楽ロックが好きな友達を見つけ、毎月ロックコンサートに行ったり来日したミュージシャンの追っかけをしていました。憧れのミュージシャンからサインをもらったり、写真を一緒に撮ってもらったり、高校時代の夢が叶った瞬間です。
「英語ができて良かった」と心から思いました!
3年で卒業しましたが、この時期にTOEICで800点を超え、英検は準1級を取得しています。多少は上達したかもしれませんが、ゆるく勉強してゆるく伸びただけの気がします。
必要にかられて学んだ英会話講師時代
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | より良いレッスンをするためと、外国人の同僚とコミュニケーションをスムーズに取れるようになるため。 |
| 学習時間 | レッスン準備で英語の勉強。TOEICで900点を超えるための学習。 |
| 学習環境 | 毎日仕事で英語を使う。 |
| 適切な学習法 | 英会話スクールのメソッドに沿って、音読やシャドーイング。 |
| 学習を楽しむこと | 仕事は楽しかったけれど、実力不足を感じ辛いことも多かった。 |
| 結果 | 英会話に必要なリスニング力、スピーキング力が大きく向上。TOEICは900点超えを達成し英検1級取得。 |
英会話講師になってからは、仕事で必要性に駆られて英語を学んでいました。
仕事で最も求められるのがスピーキング力。スピーキングに関しては力不足を感じることも多く、「もっと英語力を上げなければ」と感じていました。TOEICは800点台後半を持っていましたが、会社から求められたのは「900点台を取ること」です。
プレッシャーもあったので、学生時代のように「純粋に楽しい」という英語学習ではありませんでした。
しかし、仕事で毎日英語を話すので、スピーキング力アップのための環境はあります。レッスン準備のために、同じ英文を何度も音読やシャドーイングし、生徒にわかりやすく説明できるように文法の勉強もします。
正直、レッスン受講生よりも私の方がよく勉強していたと自信を持って言えます。
講師の仕事を始めてから2-3年位でTOEIC 900点以上を達成し、スピーキングもそれまで以上に流暢に話せるように。
表を見てもわかる通り、上達に必要な要素がかなり満たされています。英語を話せるようになりたければ、勉強よりも練習や実践が大切。
私は学生時代に英語の知識は充分身に付けていたので、仕事を通じて実践力を磨いていくことができたのが良かったです。
プロの翻訳者を目指した翻訳学校時代
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | プロの翻訳者として、仕事ができるようになるため。 |
| 学習時間 | 週に2回のレッスン(2時間)+翻訳の課題(毎日1-2時間) |
| 学習環境 | 毎日仕事で英語を使う+翻訳学校への通学。 |
| 適切な学習法 | プロの翻訳者とネイティブ校正者のもとに学ぶ。 |
| 学習を楽しむこと | 課題の内容によっては苦しかったが、勉強自体は楽しかった。 |
| 結果 | 翻訳に必要な読み書きのスキルが向上。TOEICのリーディングスコアが上がり900点台後半を安定して取れるように。 |
英会話スクール勤務でスピーキング力はかなり伸び、自分でもスピーキングに不自由を感じなくなっていました。そこで満足しても良いのですが、さらなるチャレンジとして大手の通訳翻訳スクールに通い始めることに。
自分の英語がプロとして通用するのかチャレンジしたくなったのです。
在宅でもできる翻訳の仕事に以前から関心があったので、通訳ではなく翻訳者を目指して学習を開始しました。入学テストの結果、プロの翻訳者を養成する翻訳本科コースを受講できることに。
英日翻訳と日英翻訳両方のレッスンを受講しましたが、求められるのはスピーキング力とは全く違う翻訳に必要な英語力です。
| 目的 | 求められる英語力 |
|---|---|
| 英日翻訳 | 専門的な文章も含め、難易度の高い英文を正確に理解する。 |
| 日英翻訳 | 英文の正確さはもちろん、自然で読みやすい洗練された英文を書く。 |
毎週、翻訳課題があり、課題提出のために毎日2時間位は英語を学習していたと思います。
この頃は、フリーランス講師として大学での指導を行っていて、TOEIC対策や文法、長文読解のクラスを担当していました。読み書き中心ではありましたが、英語に触れる環境にいました。
翻訳の勉強は楽しくもありましたが、苦しいことも多かったです。
技術文や契約書など難しい課題も多く、「こんなの無理!」と投げ出したくなることも。それでも頑張れたのは、「翻訳の仕事をしたい」という明確な目的があったから。
学習が辛い時ほど、明確な目的や目標が役に立ちます。
精読をしっかりしたことで、それまでスコアが伸び悩んでいたTOEICのリーディングセクションで、400点台後半を取れるように。リスニングでは満点を取れていたので、それ以降はTOEICで980点位をコンスタントに取れています。
英語学習が生活の一部になった今
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 学習の目的 | これといった目的はなし。 |
| 学習時間 | レッスン準備も兼ねた学習と洋書読書など。 |
| 学習環境 | レッスンで英語を使用する他は学習環境なし。 |
| 適切な学習法 | 学習ノウハウを発信するために第二言語習得について学習・実践。 |
| 学習を楽しむこと | リラックスして楽しんで学んでいる。 |
| 結果 | 英語力を維持できている。 |
翻訳学校卒業後、日英翻訳の仕事に数年間携わり、今はまた講師業に専念しています。翻訳の仕事をしていた時に比べれば、もっと英語力を磨きたいという情熱はなくなっていると感じます。
今の私にとって大切なのは、これまでの学習経験や仕事の経験から、英語学習者のサポートをすること。
ブログでの発信も始め、英語を教えるというよりも、英語の学習方法を伝えることにもエネルギーを注いでいます。
英語学習は今も継続していますが、目的があってと言うよりもはや生活の一部のようなもの。
それでも新しく学ぶ事は常にあり、伸びしろはまだあると感じています。必要に駆られてという学習ではないので、これまでよりもリラックスして英語を楽しんでいます。
まとめ:英語学習の目的は変化していくもの、まずは学習を始めてみよう


明確な目的があって英語学習をする方が、学習を続けやすく上達もしやすいです。ただ、学ぶきっかけは人それぞれ。目的がなければいけないというわけでは決してありません。
学習を続けるうちに、新しい目標や目的が見つかることもあります。
上達のために必要なのは、学習目的だけではなく以下のようなものも大切です。
- 学習時間の確保
- 学習の環境
- 適切な英語学習法
- 英語学習を楽しむこと
全てを満たせなくても構いません。欠けていることがあっても、他で補うことは可能。
「英語を学びたい」と感じた時が、英語学習をスタートするベストタイミングです。途中で挫折してもまた再開すればいい。
ITの進化で、留学しなくても英語を学べる時代です。英語教材やYouTube、学習アプリやオンライン英会話。自分に合うスタイルで学習を始めてみましょう。
当サイトでも、英語学習に役立つ情報を発信しているので、ぜひ皆さんの英語学習にお役立てくださいね。


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