英語学習において、「音読」と「シャドーイング」は多くの学習者に親しまれている方法です。でも「違いがよくわからない」「自分にどっちがいいのかわからない」という人が意外と多いです。

実は、2つの学習法には明確な違いがあります。
目的や得られる効果がそれぞれに異なるので、自分に合う学習法を適切に取り入れるようにしたいです。
本記事では、音読とシャドーイングの違いや、それぞれのメリット・デメリット、そしてどのように取り組めばより効果的に学習できるかについて詳しく解説します。
この記事を読んで、自分に合う学習方法を見つけてください。違いを理解して学習に取り組めば、より効果的なトレーニングで英語力アップができますよ。
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音読とシャドーイングの違い
どちらのトレーニングも「声に出す」という点は共通していますが、異なる点がたくさんあります。以下の表にざっくりと違いをまとめてみましょう。
項目 | 音読 | シャドーイング |
---|---|---|
効果 | 文法や語彙の定着 | リスニング力、発音の向上 |
難易度 | 低い | 高い |
準備 | 事前に音声を聞いておく | 事前に音読やオーバーラッピングをおこなう |
テキスト | 英文を見ながら読み上げる | テキストなしで音声のみで行う |
特徴 | 自分のペースでできるので初心者にもおすすめだが、発音の再現は意外と難しい。 | コツを掴むまでに時間がかかるが、スキマ時間でできるので忙しい社会人におすすめ |
これからそれぞれのトレーニングの特徴やメリット・デメリット、注意点などを伝えていきます。
音読とは?


音読は、教材や本など、目の前のテキストを声に出してそのまま読み上げる練習法です。学校の授業で英文を音読させられた経験が、皆さんもあるのではないでしょうか?
声に出すことで発音の確認や発話の練習にもなり、単語や構文を定着させるのにも役立ちます。また、音読は学習者にとって親しみやすく、簡単に始められる点でも優れています。
音読のメリット
文法や語彙が定着する
文章をくり返し読むことで、文法や語彙が頭に入りやすくなります。文章の意味を確認しながら声に出すと、内容の理解も深まります。英語の基礎力をつけるのにおすすめです。



黙読や聞き流しよりも、英語力アップに大きな効果があります。
音読する内容が日常的に使う表現であれば、実際の会話でも役立つフレーズを学べます。英会話で使える語彙のストックを増やせます。
初心者でも取り組みやすい
シャドーイングに比べると、音読は難易度が低いので、英語学習を始めたばかりの人でも気軽に始められます。自分のペースで読みあげられるので、発音に慣れていない初心者でも取り組みやすいです。
音読で上手く言えない単語は改めて音声で確認するなど、じっくり学習に取り組めるのも利点です。自分のペースで丁寧に学習を進めていくことができます。
スピーキングにも効果がある
意味を意識しながら気持ちを込めて音読すると、スピーキング力の向上にも効果があります。シャドーイングでは、スピードについていくのに必死で意味まで考える余裕がない場合が多いです。
一方、音読は自分のペースで読み上げられるので、内容にも意識を向ける余裕が生まれます。



感情を込めて抑揚をつけたりすると効果的。
音読のデメリット
正しい発音の再現がしにくい
日本人は、英語のスペルと正しい発音が結びついていないことが多いです。そのため、英文を見ながら音読しても正しい発音が再現しにくいです。
単語の発音や英語特有のリズムや抑揚を、事前にしっかり確認した上で音読をする必要があります。自己流の発音でずっと練習していると、間違った発音が定着してしまうので気を付けたいです。
瞬発力が身に付きにくい
自分のペースで読み上げられるのがメリットですが、そのぶん瞬発力は身に付きにくいです。音読の際に意識的にスピードを上げるなど、工夫が必要になります。
会話でとっさに英語が出てくるようにするには、音読のあとにシャドーイングを行うなど、別のトレーニングが必要になってきます。
ながら学習ができない
音読はテキスト等を用意して英文を見ながら行うので、歩きながら、家事をしながら、といったながら学習ができません。そのため、ゆっくりテキストを見ながら学習をする時間がない人が、音読を習慣化するには少しの工夫が必要です。
たとえば、5分でもいいので、一日のどこかで時間を作って音読する、というスケジュールを作るとよいでしょう。
シャドーイングとは?


シャドーイングは、聞こえてくる英語音声を追いかけるようにして発音する練習法です。リスニングしながら同時に発話もするという複雑なプロセスを伴うので、集中力が必要です。
シャドーイングには、発音に特化したプロソディ・シャドーイングと、内容を意識して行うコンテンツ・シャドーイングの2種類があります。
- プロソディ・シャドーイング:発音の向上、リスニング力の向上に効果あり。
- コンテンツ・シャドーイング:英文を理解するスピードを上げ、スピーキングにも効果がある。
シャドーイングのメリット
リスニング力が向上する
音声を聞き取り、即座に口に出す練習は、英語の音を正確に聞き取る力を鍛えます。聞こえてきた発音をすぐにくり返すので、正しい発音を再現しやすく、発音の改善や英語を聞き取る力がつきます。
発音の聞き取りが楽になればリスニングがスムーズになり、英文理解のスピードも上がります。日本人は特に発音の聞き取りを苦手とするので、プロソディ・シャドーイングで音声の聞き取り力を鍛えれば、リスニング力全体が向上します。
瞬発力が身に付く
聞き取った内容をすぐに発話するので、瞬発力も身に付きます。くり返し練習することで、リスニングで理解のスピードが上がったり、スピーキングの流暢さの向上にもつながります。
スピーキングの瞬発力を身につけるには、意味を意識するコンテンツ・シャドーイングも積極的に取り入れましょう。
自然な英語のリズムや抑揚が身につく
聞こえてきた英語を即座にくり返すので、音読よりも正しい発音が身に付きやすいです。音読の場合、事前に発音を聞いておき、文字を見ながら読み上げます。いざ音読しようと思うと「元の発音はどうだったかな?」と分からなくなることも多いです。
シャドーイングでは発音を聞いてすぐに発話するので、正しい発音を再現しやすいのです。ネイティブスピーカーの話し方をそのまま真似することで、より自然な英語のイントネーションやリズムを習得できます。
シャドーイングの効果について詳しくは以下の記事もご参考にしてください。
>>>シャドーイングの効果とは?リピーティングやオーバーラッピングとの違いも解説!
ながら学習がしやすい
シャドーイングは音声のみで行うので、他の作業をしながらでも学習ができます。
- ジョギングしながら
- 洗い物をしながら
- 掃除しながら
ながら学習が可能なので、忙しい社会人にもトレーニングを続けやすいです。スキマ時間を活用して、毎日の学習習慣を身に付けられます。
シャドーイングのデメリット
難易度が高い
シャドーイングは、特に初心者にはハードルが高いと感じられることが多いです。英語のスピードについていけないと、挫折もしやすいです。シャドーイングのタイミングがわからなかったり、慣れるまでに時間がかかります。



シャドーイングの指導をしていると、生徒さん達から以下のような声をよく聞きます。
- シャドーイングのタイミングが上手くつかめない。
- 聞きながら発話するのが難しい。
- 上手く口が回らない。
初めは簡単な音声を選んだり、少しずつ音声のスピードを上げていくなど、工夫しながら根気よく続けることが大切です。慣れるまで数ヶ月くらいかかるので、気長に練習を続けましょう。
シャドーイングがうまくできないと感じる方に向けて、学習のアドバイスを以下の記事で書いています。よろしければ合わせてお読みください。
>>>【学習のコツ】シャドーイングについていけない!3つの原因と対策
ストレスがかかりやすい
かなりの集中力を必要とするため、疲れやすい学習法でもあります。そのため、長時間のトレーニングはあまりおすすめしません。長くても30分程度、音読やオーバーラッピングなど他のトレーニングと合わせて行うのがおすすめです。
朝と夜の2回に分けるなど、一回あたりのトレーニング時間を短くし、分散して学習するのも良いでしょう。



あまり無理はせずに、休憩も入れながらやるのがおすすめ。
事前の準備が必要
理解できない文章をシャドーイングしても効果が薄いので、事前にしっかり内容を理解しておく必要があります。また、いきなりシャドーイングするのは難しいため、以下のように段階をふんでトレーニングするのがおすすめです。
- 事前に英文の意味をしっかり確認する。
- シャドーイングの前に音読をする。
- 英文を見ながら音声に合わせてオーバーラッピングをする。
教材選びを間違えると効果的なトレーニングができないので、自分が理解できる英文を使ってシャドーイングを行いましょう。
音読の効果的なやり方


やさしめの文章から始める
初心者は特に、簡単な英文を何度もくり返し読むことで、自信をつけることができます。いきなり長い文章で始めるのではなく、最初は短めの文章から始めるのがおすすめです。
基本的な挨拶や日常会話のフレーズを音読すれば、実際に会話で使えるフレーズを覚えていけます。



特にスピーキング力上げたいと思うなら、少しやさしめの文章で音読しましょう。
事前に発音を確認する
音読する前に音声を聞いて発音を確認しましょう。音の連結や脱落、リズムやイントネーションなどを確認してから音読するのがおすすめです。できれば、英語の発音についてある程度学んでから行うのが理想です。
初心者が発音の基礎を学ぶには、以下の書籍がおすすめです。


発音の基礎を丁寧に学びながら、簡単な文章で音読していきます。最初に正しい発音を学んでおけばその後の英語学習もスムーズに進みます。



それが難しい場合は、音声データをしっかり聞いて、聞こえたとおりの発音をできるだけ再現するように意識しましょう。
感情を込めて読む
単調に読むのではなく、感情を込めて読むことが大切です。感情を込めることで、文章の意味もより深く理解できます。単語や構文の定着にもなり、スピーキング力の向上にもつながります。



話者になりきって音読するのが効果的です。
気持ちを込めようとすれば、自然と重要な単語に力がこもります。その結果、強弱やメリハリが生まれるので、英語のリズムも再現しやすくなります。
同じ文章を何度も音読する
2、3回音読して終わるのではなく、同じ文章を最低でも10回は音読するようにしましょう。英語学習では量をこなすだけでなく、学習の質を上げるのも大切です。



単語やフレーズを定着させるためには、同じものをくり返し練習する必要があります。
できれば暗記するようなつもりで音読するのがおすすめです。リスニングだけではなく、スピーキング力の向上にもつながります。
シャドーイングの効果的なやり方


英文を暗記しない
英文を暗記してしまうとシャドーイングの効果が薄くなります。シャドーイング前の音読をあまりやりすぎると、英文を暗記してしまうことがあるので注意が必要です。文章を覚えてシャドーイングをすると、発音を聞かずに、自分の記憶に頼ったシャドーイングになりがちです。
英文は暗記してしまわずに、音声にしっかり意識を向けるように気をつけましょう。



特に中級レベル以上の人は、やさしい文章だとすぐに覚えてしまうので注意してください。
段階的に進める
事前に音読やオーバーラッピングなどを行って、慣らしてからシャドーイングを行うのがおすすめです。最初はゆっくりした音声から始め、徐々にスピードを上げるのもポイントです。少しずつ難易度を上げることで、無理なくトレーニングを進めていけます。
再生速度を変えられる教材やアプリを活用するのがおすすめです。
同じ音源を使ってくり返し行う
シャドーイングは同じ音源を使ってくり返し行うのがおすすめです。数回練習しただけでは正しい発音を再現できず、十分な効果を得られません。できれば数日間にわたって行うのが理想です。
以下のように意識するポイントを少しづつ変えてみるのも良いでしょう。
- 音の連結や脱落などの音声変化を意識する
- リズムやイントネーションを意識する
- 意味にも意識を向ける
最初は聞き取りにくかった発音が、「シャドーイングをくり返すうちに聞こえるようになってきた」と感じられるようにしたいです。
音読・シャドーイングで上達を早めるアドバイス


音声を録音して聞き返す
自分の音読やシャドーイングの音声は、録音して聞き返すのがおすすめです。自分の音声とお手本の音声とを聞き比べるようにしましょう。



客観的に自分の発音を聞くことで、弱点にも気づきやすいです。
くり返し練習した後に、再度録音して、最初の音声と比べてみるのもおすすめです。少しずつ上達しているのを感じ取りましょう。
発音を添削してもらう
音読もシャドーイングも、できれば添削をしてもらうのがおすすめです。1人で行っていると、正しい発音ができているか自分だけではわかりにくいです。



音声を添削してもらえば、より早い上達が可能です。
何度練習してもうまくできない発音を、添削でアドバイスをもらえば一瞬で解決できることが多々あります。効率良く学習をしたい人は、多少コストがかかっても添削を受けるのがおすすめです。
音読やシャドーイングの添削におすすめのアプリを以下の記事で紹介しています。自分に合うアプリを見つける参考にしてみてください。
>>>【プロ講師が解説】シャドテンの代わり?シャドーイングバディ、English Company Mobileも3つを徹底比較!


音読とシャドーイングどっちを選ぶべき?


どちらの学習法を選ぶべきかは、学習者のレベルや目的によります。
初心者の場合
音読がおすすめです。基礎的な発音や文法、語彙の定着に役立ちます。初心者は特に、英語の音に慣れることが第一歩です。
短い文章から始めてみて、少しずつ慣れてきたらシャドーイングも取り入れてみましょう。
中級者以上の場合
シャドーイングを積極的に取り入れましょう。シャドーイング前の音読やオーバーラッピングの回数は、少なめにするのがおすすめです。
発音をしっかり聞き取り、正確に再現できるように目指します。リスニングやスピーキングの流暢さも上げられます。
両方取り組むのが理想
音読で基礎を固め、シャドーイングで瞬発力や発音を聞き取る力を高めるのが効果的です。2つの方法を組み合わせることで、英語力を総合的に向上させることができます。
- 最初に音読で口を慣らす
- オーバーラッピングで音声と同時に音読
- 音声のみでシャドーイング
- 最後に気持ちを込めて音読
音読とシャドーイングの違いまとめ
音読とシャドーイングは、それぞれ異なる特徴と効果を持つ学習法です。
音読:基礎力を鍛えるのに適している。初心者にもおすすめ。気持ちを込めて音読すれば、スピーキング力向上にもつながる。
シャドーイング:慣れるのに時間がかかるが、発音・リスニング力の向上に抜群の効果あり。音読で英語の発話になれたら、是非シャドーイングにもチャレンジしたい。
自分の学習目的やレベルに合わせて取り組めば、効率的に英語力を伸ばすことができます。ぜひ、自分に合った方法を見つけて、英語学習を楽しんでください!
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