英語を学習する中で、「リスニングが苦手」という悩みを抱える方は少なくありません。特に仕事で英語を使う人の中には、「話すのは何とかなるが相手の英語が聞き取れない」という人は意外と多いです。
なぜリスニングがスピーキングよりも難しいと感じるのでしょうか?
特に大きな要因は以下の2つです。
- 英語の発音を聞き取れない
- 相手が使う単語や文法などをコントロールできない
この他にも、リスニングへの苦手意識から緊張して聞き取れないなど、いくつかの要因が重なっています。
この記事では、リスニングが難しい理由を徹底的に分析すると共に、リスニング力を効率的に高める学習法をご紹介します。リスニングが苦手な方は、この記事を読めば上達のコツがわかるはずです。
- TOEIC980点、英検1級
- 留学経験ゼロで英語を習得
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- 講師歴はトータル20年以上
- 日英翻訳の経験多数
リスニングが難しい理由を徹底解説
リスニングはスピーキングとは異なり、受動的なスキルです。だからこそ「スピーキングよりもハードルが低い」とも言えますが、実際にはそう単純ではありません。スピーキングよりもリスニングが難しい理由をあげていきましょう。
英語の発音を聞き取れない
日本では学校教育で正しい発音を学ぶことが少ないので、多くの人は間違った発音で覚えてしまっています。そのため、「文字で見ればわかるのにリスニングで聞き取れない」という日本人が多いのです
英語では、単語と単語が繋がって発音されたり(リエゾン)、音が消えたり(リダクション)することが多くあります。
英語 | 実際の発音 |
---|---|
turn it down | ターニッダウン |
have an idea | ハヴァナイディア |
こういった音声の変化は日本語にはない特徴で、慣れるまでは聞き取りづらいと感じます。
さらに英語には日本語にはない独特のリズムがあります。1つ1つの単語を丁寧には発音してくれず、弱く読まれる発音がたくさんあるのです。例えば、「have」を動詞「持つ」の意味で使うときは強く発音されますが、助動詞の「have」は弱く発音されることが多いです。
英語 | 発音 | 特徴 |
---|---|---|
動詞の「have」 | ハァヴ | 強く長く発音 |
助動詞の「have」 | アヴ | 弱く短く発音 |
こういった弱く読まれる発音を「弱形」と言いますが、日本人はこれが苦手です。
受動的スキルであるため、コントロールできない
スピーキングは、自分で話す内容やペースを決めることが可能です。自分が知っている単語や表現を使って話したり、自分のペースでゆっくり考えながら話せます。
しかし、リスニングでは話し手が難しい単語を使うこともあり、相手のスピード、声のトーンに適応しなければなりません。人によって話し方が異なり、癖があったりもします。
スピーキング | リスニング | |
---|---|---|
語彙・文法 | 知ってる単語や文法で表現 | 難しい単語や文法も出てくる |
スピード | 自分でスピードを調整 | 相手が決める |
アクセント | 自分の癖がある | 人によってさまざま |
いつも同じ人とばかり話すわけではありません。そのため、Aさんの英語は聞きやすいが、Bさんの英語は分かりにくいということがありえるのです。
あらゆる発音に対応するのは簡単ではありません。
語彙力と文法力の不足
1つ目の原因にも通じますが、リスニングでは相手が使う単語や文構造を自分では選べません。そのため、リスニングでは知らない単語や文法に出会う確率が非常に高いのです。
スピーキング以上に語彙や文法の知識が重要になります。
知らない単語が多いと、それだけで文章全体の意味を把握するのが難しくなります。文法の理解が不十分だと、話し手がどんな構造で話しているのかが分からなくなり、内容を追い切れません。
リーディングなら知らない単語を調べることができますが、リスニングではそんな時間はありません。語彙力、文法力の不足は致命的な結果につながります。
リアルタイム処理が求められる
リスニングでは、音声を聞き取る、意味を理解する、次の音声を予測するという作業がリアルタイムで行われます。この処理がスムーズでないと、途中でつまずいてしまいます。
2、3回聞けば理解できるんだけど。
実際のコミュニケーションの場面では、相手に何度もくり返してもらうわけにはいきませんよね。特に英語での会議では、話がどんどん進んでいきます。英語が得意な他のメンバーは話について行けてるのに、自分だけが置いてけぼりということはありませんか?
- 音声を聞き取れない
- 音声は聞き取れても内容理解に時間がかかる
- 考えているうちに話がどんどん進んでいく
一度つまずいて理解ができなくなると、その後の話がさらによくわからなくなります。話を途中で止めるわけにもいかず、結局内容を聞き取れない、聞き取れないから発言もできない、という人も多いのではないでしょうか。
心理的なプレッシャー
「聞き取れなかったらどうしよう」「周囲についていけないかも」といった不安がリスニングのパフォーマンスを低下させます。TOEICなどの資格試験でも、「リーディングよりもリスニングの方が緊張する」という人は多いのではないいでしょうか。
「一度しか聞けない」と思うと緊張する
リスニングは特に心理的なコンディションが影響しやすいです。皆さんも、隣の人がちょっと咳をしただけで気が散ってしまったり、焦って聞き取れるはずの単語を聞き逃した経験がありませんか?
単語を聞き逃す
↓
気持ちが焦る
↓
そのあとも聞き逃す
↓
話について行けなくなる
そんな負のループに簡単におちいってしまうのがリスニングです。落ち着いてリラックスして聞けば聞き取れるものを、プレッシャー故に聞き逃すということも多いのです。
リスニング力を伸ばす効率的な学習法
リスニングが難しい理由を理解した上で、具体的な学習法を取り入れて、壁を越えていきましょう。効果的なリスニング力アップには、学習の量と質の両方が大切です。いかに紹介する学習方法をぜひ取り入れてみてください。
シャドーイングで瞬発力をつける
シャドーイングは、音声を聞きながら、聞こえてきた内容をすぐにくり返す練習法です。発音やイントネーションを自然に身につけることができ、即座にくり返すため瞬発力を上げる効果もあります。リスニングの流ちょうさや、集中力を高めるのにも役立ちます。
シャドーイングのコツ
①事前に単語や文章の意味を確認する。
②シャドーイングの前にオーバーラッピングや音読をしておく。
③スクリプトは見ずに、音声から少し遅れて即座にくり返す。
最初はスピードについて行くのに必死でうまく行かないでしょう。完璧にしようと思わずに、少しずつ完成度を上げていくつもりで取り組んでください。最初は再生速度を落としてみたりして、徐々に難易度を上げて慣らしていくのがおすすめです。
慣れるのに時間がかかるので、少しずつ練習していきましょう。
オーバーラッピングでリズムをつかむ
オーバーラッピングとは、音声と同時にスクリプトを見ながら声に出して読む練習方法です。音声とタイミングを合わせて発音することで、耳と口を同時に鍛えることができます。
オーバーラッピングのコツ
①事前に単語や文章の意味を確認しておく。
②音声を聞きながらスピードに合わせて発話する。
③英語のリズムやイントネーションを意識する。
音声を聞きながらスピードに合わせて発話するので、英語のリズムやスピード感が身につきます。スクリプトを見ながら行うので、スペルと音をつなげやすいです。
オーバーラッピングとシャドーイングの違いは以下のとおりです。
ポイント | オーバーラッピング | シャドーイング |
---|---|---|
スクリプトの使用 | 使う(音声と同時に読む) | 使わない(音声を聞きながら発音) |
目的 | 音声とリズムを合わせて発音を習得 | 音声を追いながらリスニング力向上 |
学習効果 | リズム・イントネーションの強化 | 発音・リスニング・瞬発力の向上 |
オーバーラッピングはシャドーイングの前段階としても役立つため、初心者にも取り組みやすい方法です。ぜひ取り入れてみてください。
シャドーイングとオーバーラッピングの詳しい違いは、以下の記事をご参考にしてください。
初心者は音読を取り入れる
シャドーイングやオーバーラッピングが難しいと感じる人は、音声なしで英文を声に出して読み上げる音読を取り入れましょう。単語や文章の意味を考えながら、英文を何度も声に出して読みます。
音読のコツ
①事前に音声を確認して、発音をチェックしておく。
②できるだけ音源どおりの発音を再現するように心がける。
③単語や文章の意味も意識する。
音読はマイペースでできるので、初心者でも取り組みやすいのがメリットです。一方で、リスニングのスピード感が身につかず、発音が自己流になりがちなのがデメリットと言えます。
まずは音読で慣らせて、いずれはオーバーラッピングやシャドーイングにも挑戦しましょう。
1、2回読み上げて終わるのではなく、せめて10回は音読をしたいです。暗唱するような気持ちで音読をするのがおすすめです。単語やイディオムなどが定着していき、文章の構造にもだんだんと馴染んでいきます。英文を理解するスピードも上がっていくはずです。
ディクテーションで聞き取れない部分を克服
ディクテーションは、音声を聞き取りながら書き起こす学習方法です。シャドーイングと違い、一字一句書き起こすので、どの部分が聞き取れないのかを具体的に把握できます。
ディクテーションのコツ
①1文ずつ再生し、聞き取れた部分を書き出す(1文が長い場合は途中で一時停止しても良い)。
②聞き取れない部分を繰り返し再生し、補完する。
③音声のスクリプトと照らし合わせて答え合わせをする。
発音を聞き取るだけでなく、単語や文法の知識など総合的なスキルが試されます。自分のリスニングの弱点がどこにあるのかを判明するのにも役立つトレーニングです。
ディクテーションの後に、ぜひオーバーラッピングや音読も取り入れましょう。
ディクテーションのより詳しい方法について、以下の記事で書いていますのでご参考にしてください。
英語の聞き流しで耳を慣らす
英語に触れる時間を増やすことも、リスニング力を高める上で大切です。シャドーイングやディクテーションとは違い、多少聞き取れないところがあっても気にする必要はありません。聞き取れない箇所は前後の流れから推測し、全体像をつかむようにしましょう。
海外ドラマ、ポッドキャスト、YouTubeなど、多様な素材を活用できます。
多聴のコツ
①7割位は理解できるような、少し易しめのものを用いる。
②興味のある内容を選び、楽しみながら学習する。
③聞き取れないところがあっても気にしない。
あまり難しいものを使うと楽しめません。少し易しめのものを使って気軽に取り組むのがおすすめです。肩の力を抜いてリラックスして楽しんで行いましょう。
リスニングの勉強を効率化するおすすめアプリ・サービス
リスニング学習は、テキストを買って勉強するよりもアプリを使うのがおすすめです。仕事で忙しい社会人こそ、便利なツールを活用して効率よくリスニングの勉強をしていきましょう。
シャドテン:シャドーイングにおすすめ
シャドテン
項目 | 概要 |
---|---|
料金 | 月額 21,780円(税込) (iOS内課金の場合は25,800円) |
内容 | 1,000以上の豊富な教材 毎日1回のシャドーイング添削 LINEでの学習サポート |
効果 | リスニングの向上 発音の向上 |
レベル | 初級~上級 |
学習時間の目安 | 1日30分程度~ |
教材の内容 | ビジネス、文学、科学、社会、エンタメ、カルチャー、 資格試験(TOEIC、英検2級・準1級、TOEFLE、IELTS) |
おすすめする人 | 発音の聞き取りが苦手な人 効率よくリスニング力を上げたい人 |
シャドーイングは自分のレベルに合う教材を選ぶのも難しいです。シャドテンの教材は細かいレベル分けがされていて、カウンセリングで自分に合うレベルの教材を紹介してもらえるのも嬉しいです。
オーバーラッピングを行った後にシャドーイングをするので、初心者でも無理なく取り組めます。発音の聞き取りに特化したトレーニングを行い、英語を聞き取る能力を上げていきます。
「読めばわかるが聞き取れない」というタイプの人に効果的。
毎日シャドーイングの音声を添削してもらえるので、自分の弱点が明確になります。英語の発音を細かくチェックされるので、リスニングだけでなく発音の改善にもなります。
7日間無料体験ができるので気になる人はまずは試してみましょう。シャドーイングの手順も丁寧に教えてもらえるので、シャドーイング初心者でも安心して学習を進められます。
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シャドーイングするならシャドテン
シャドーイングバディ:シャドーイング+音読におすすめ
シャドーイングバディ
リスニングだけでなくスピーキング力も上げたいという人に特におすすめです。
項目 | 概要 |
---|---|
(税込) | 料金通常プラン/月額16,434円 (会話レッスン付き/月額27,753円) |
内容 | 毎日教材が配信 毎日の音声添削(土日以外) LINEでの学習サポート 毎月のオンライン・グループセッション |
効果 | リスニングの向上 スピーキングの向上 |
レベル | 初級~上級 |
学習時間の目安 | 1日40分程度~ |
教材の内容 | ビジネス、日常会話、時事 |
おすすめする人 | リスニングとスピーキング両方を上げたい人 |
学習の時間はシャドテンより長くなりますが、じっくり学習に取り組めます。添削はシャドーイングでなく音読なので、初心者にも取り組みやすいです。土日以外は毎日、音読の添削があります。
様々なトレーニングを体験できるので、リスニングに限らず英語学習に役立つ学習方法が身につきます。
10日間無料で体験できるので、まずはお試ししてみましょう。シャドーイングと音読の両方を体験できます。
\ シャドーイング+音読学習 /
10日間無料で体験できる!
英語の聞き流しにはAmazon Prime
Amazonプライムは多聴学習に非常に役立つサービスです。プライム会員になると、Prime Video や Amazon Musicなどを活用して、リスニング力を効率的に鍛えることができます。
AmazonプライムAmazon Prime Video
Prime Videoは洋画や海外ドラマなど、英語学習者に適したコンテンツが豊富にそろっています。英語学習には洋画よりドラマがおすすめです。キャラクターの設定やストーリーの背景がわかりやすいので、お気に入りのドラマを見つけて視聴してみましょう。
『フレンズ』などのシットコムは日常会話のリスニングに向いていますし、ビジネス英語なら『SUIT/スーツ』がおすすめです。学習の目的に合わせて作品を選ぶと、より効果的な学習が可能です。
学習のコツ:
- 自分が興味を持てる内容のドラマを、英語音声で楽しみながら視聴する。
- 好きなエピソードや気になるシーンはくり返し見て、英語字幕をチェックする。
- 聞き取れなくても気にしない。「少しでも聞き取れればオッケー」という感覚で楽しむ。
Amazon Music
Amazon Musicには音楽だけでなく、ポッドキャストも豊富にそろっています。Amazon Musicでポッドキャストを聞けると知らない人は意外に多いです。語学学習ができるコンテンツも豊富なので、自分の興味に合わせて選んでみましょう。
学習のコツ:
- 好きな音楽を歌詞付きで聞き、発音や表現を覚える。
- ポッドキャストでスキマ時間に英語を聞く。
- 再生速度を調整して、自分のペースで学ぶ。
レベル別におすすめのポッドキャストを以下にご紹介します。
VOA Learning English
アメリカ英語を学ぶ初心者に最適なポッドキャスト。語彙や文法を意識して簡単な英語でニュースやストーリーを紹介します。スローな音声スピードでリスニング力を無理なく向上させられます。
Hapa英会話
日米ハーフのジュンさんが配信する、英語と日本語の両方で進行するポッドキャスト。アメリカ文化や実用的な表現を学びながら、英語を効率よく習得できます。ネイティブ同士のやり取りは、英語が速くなるので中級者向けの内容です。
TED Talks Daily
さまざまな分野のエキスパートが行うプレゼンテーションを配信するポッドキャスト。高度な語彙や専門用語が含まれるため、リスニング力をさらに磨きたい上級者におすすめです。興味のあるトピックを選ぶことで、学習を楽しく続けられます。
リスニングは継続的な学習が成功へのカギ
リスニングは、一朝一夕で上達するものではありません。毎日の練習を通じて、少しずつ苦手意識を克服していきましょう。すぐに結果が出ることを期待して学習すると、なかなか結果が出ないことにがっかりします。時間がかかるつもりで、根気よく続けるのが大切です。
- シャドーイングなどのトレーニングは最低でも3ヶ月は集中して取り組む。
- さらに半年、1年と継続する。
- シャドーイングに加えて多聴もおこないたくさん英語に触れる。
特に、上級レベルに到達しようと思えば、かなり多くの学習時間が必要です。たとえTOEICのリスニングで満点が取れるようになっても、リスニングの悩みは続くものです。テストの英語と生英語は別物だからです。
私自身、英会話講師になってからも、同僚のネイティブの英語が聞き取れずに苦しんだ経験があります。
諦めずに続けることが大切です。そうすれば、徐々に英語が聞き取りやすくなっていると感じられるはずです。以下に継続のコツをお伝えしますので、参考にしてみてください。
- 好きなテーマの音声を選び、楽しく学ぶ。
- 進捗を記録し、目標を設定する。
- 聞く時間を日常生活の一部に組み込む。
- 自分に厳しくしすぎずに、小さな成長にも目を向けていく。
いきなり「洋画を字幕なしで理解する」というような高い目標を設定せずに、「TOEICのリスニングで100点アップ」というような達成可能な目標を設定するのがおすすめです。その方がモチベーションも維持しやすく、自分の成長も感じやすいです。
まとめ:リスニングは努力で克服可能!
リスニングが難しい理由は以下の5つです:
- 英語の発音を聞き取れない
- 主導権が相手にある
- 難しい語彙・文法に出会う確率が高い
- リアルタイム処理の負担
- 心理的なプレッシャー
しかし、シャドーイングやディクテーション、多聴を取り入れることで、確実にスキルを向上させることができます。リスニング力が向上すれば、英語での会話が楽になり、自信を持ってスピーキングにも取り組めるようになります。
シャドーイングや音読は添削してもらうのがおすすめです。多聴は自主的におこないながら、アプリを活用して添削を受けるとより早くリスニング上達ができます。毎日の学習にぜひ取り入れてみてください。
\ シャドーイング+音読学習 /
期間内に解約すれば0円
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